平成25年月日現在
*小児歯科に関心のある方へ
小児歯科を将来の専門としてお考えのみなさん。小児歯科のイメージってどんな風にとらえていらっしゃいますか?
私たちは歯科という専門性の中で、主に成人を中心としてトレーニングを受けますが、大人と同じように対応すけばいいのでしょうか?
答えはNo!です。
子どもは大人のミニチュアではなく、成人へ成長過程にあるヒトです。そのため、治療や対応は年齢や個性に合わせて成人より更にきめ細かくする必要があります。また「子どもが好き」という気持ちは大切ですが、それだけではできない分野でもあります。従って非常に専門性も高く、専門医取得の後には標榜表示も可能な分野です。加えて子どもと同様に対応の難しい障がいのある方への治療もトレーニングを平行して受けることができるため、障がい者歯科認定医の取得も可能ですので更に可能性は広がると思われます。
現在、歯科医師過剰と言われる日本において、他との競合を避けるために、多くの若い先生方は、専門性を身につけるために、時間とお金を使い日々勉強されています。また少子化で、ニーズが減少しているのではないかと心配されている方も多いかと思われますが、実際のニーズと専門医の数はアンバランスで、小児歯科専門医の小人数化が問題となっており、需要は十分にあるのが現状です。
子どもの治療ということは漠然とお解りだとは思いますが、具体的にどんなスケジュールでトレーニングを受けてどんな治療をして・・・ということはなかなかイメージがわかないかと思います。
なので、まずは問い合わせてみてください。実際に診療を目にして肌で感じ取ってください。いつでも歓迎いたします。
子どもは未来の宝です。健康な口腔を維持するお手伝いをすることで、子どもの健やかな成長の手助けをする担い手になりませんか?
それと、大学院教育ついても少し。
当分野の教授および准教授は、九州大学および鹿児島大学においておよそ30名の大学院生の指導を行ってきました。臨床と研究の時間のバランスを取りながら、大学院卒業(学位取得)後に臨床の道に進むことも、研究の道に進むことも可能な人材を育てることを心掛けています。社会人大学院の先生については、入学される方の仕事や立場に則した、歯科診療、口腔保健、小児、障がい児・者の支援に関する研究テーマを模索していますし、新しい分野にも積極的にチャレンジしています。実際に指導した先生方は多方面で活躍されていますが、同じように若い先生方を無理なくサポートし、しかし一歩一歩堅実に成長できるように指導し、結果として徐々に成長していく姿を私たちはとても楽しく、またうれしく見ています。
大学院への入学(社会人を含む)を希望される方は、齊藤 一誠 准教授(isaito■dent.niigata-u.ac.jp)までご連絡、ご相談下さい。
研修医臨床教育プログラムと大学院生養成プログラムの概要
@卒後セミナー
大学院一年目の4月から7月いっぱいをかけ、小児歯科・障がい者歯科診療におけるあらゆる知識の整理と実習を行い、外来に羽ばたくための準備をします。指導医のもと、きめ細やかな指導で学生時代に曖昧だった小児歯科・障がい者歯科という分野の知識を明確にさせていきます。
「乳歯の根治って?」「根未完成歯の治療って?」「保隙って?」・・・
A模型実習
混合歯列期の模型を使い、ファントムで実際に形成・根治・乳歯冠etc・・・を行います。成人とは異なる診療方法を実際に体験することで、その難しさを体感し、スキルアップを目指します。学生の時は机上の空論でしかなかったものを実際に手で作り、触り学習していきます。
B診療補助
指導医、上級医の診療補助をすることで、実際の患者対応や診療技術を学ぶことができます。基本的に診療は診療医+補助医の合計4handsで行います。学びながら、診療がスムーズに行われるよう息の合った連携も必要です。
C外来診療
卒後セミナーを無事終了すると新患の患者さんや上級医の患者さんの配当を受け、自分で患者担当をさせていただきます。セミナーで身につけたスキルをフル活用し、資料から診断・治療計画立案を行って実際に自分の手で患者さんの治療を開始します。デビューしたては上級医・指導医がアシストについて下さりながら、丁寧な指導を受けることができます。
D全麻下診療
多数歯う蝕や障がい者患者さんの治療では、全身麻酔下での処置を選択することが少なくありません。そのような時は、手術室で処置を行います。綿密に治療計画をたて、念入りに事前準備を行いほぼ全顎を一度の治療で行えるよう数人でチームになり、手術室へ入室します。
E症例検討会
自分が担当することになった患者さんの症例を整理し治療方針をたて、毎週水曜夕方にプレゼンをします。そこで診断が正しいか、治療方針や手順が適切かをみんなで話あい、それを元に治療を開始します。他の先生の症例を見て考えることで自分の知識や経験値を上げるという目的もあります。もちろんこれ以外でも、気軽に治療方針を相談することはいつでも可能ですし、大学院生が集まれば、いつでもディスカッションが始まる、そんな気軽な環境です。
F学会参加
小児歯科学会は春に全国大会が開催されます。平成24年度は小児歯科学会50周年という記念すべき年でもあったため、東京フォーラムで大々的に行われ、大学院生の多数が参加しました。障害者歯科学会やその他の関連学会にも多くの先生方が参加・発表されています。発表を聞き、新たな見聞を広め刺激を受けるとともに様々な土地へ行く楽しみもあります。
G医局説明会
毎年春から初夏にかけて、医局説明会を開催しています。小児歯科・障がい者歯科に興味がある方は是非参加してみてください。軽食での懇親会もありますので食事だけでも・・・という方もお気軽にいらしてください。疑問にお答えしたり、親睦を深めたりしながら将来の方向性を模索する機会になると思います。
H技工
小児歯科・障がい者歯科では保隙装置など、技工物作成もあります。卒後セミナーの時に模型上で作成したものを実際の患者さんに作成し使用していただきます。初めは大変ですが、作り始めると楽しいものです。可撤式保隙装置(RSM)は子どもさんの好きなキャラクターつきにしたり、特徴あるものができあがります。
I研究の様子
研究と聞くと尻込みしてしまう方もいると思いますが、小児歯科・障がい者歯科では基礎から臨床まで様々な研究をしています。臨床の現場で感じたちょっとした疑問も研究のテーマになります。その実現のために支えてくださる教員もいます。基礎チームと臨床チームが協力して、または複数の基礎チームが協力して研究テーマに取り組んでいます。
J留学
新潟大学医歯学総合研究科では口腔生命科学専攻における大学院教育の充実を図るために、海外からの留学生を広く受け入れるとともに多くの若手研究者を海外に派遣しています。見聞を大きく広げ、国際感覚を養う機会を得ることができるので、今後の臨床だけでなく、研究面においても大いに役立つことと思います。